メールサーバに届いたメールをユーザーがパソコンでダウンロードするのに最もよく使われるプロトコルはPOP3(Post Office Protocol version 3)です。POP3のサービスプログラムとしては、
QUALCOMM社から無償で配布されているqpopperが世界で最も広く使われています。やはり世界で最も広く使われているSMTPサービスプログラムであるsendmailとの整合性が良く、設定が簡単で安心して使えるプログラムです。
ここでは、qpopperの設定方法を説明します。
1. qpopperを入手する
qpopperは、
QUALCOMM社のFTPサイトや
Ring Serverプロジェクトなどから入手できます。2000年12月時点での最新版のファイルは「qpopper3.1.2.tar.gz」です。これをダウンロードしてください。
2. qpopperをインストールする
rootになって、入手したファイルをroot用の作業ディレクトリに置き、そのディレクトリ位置で以下のようにコマンドを打ちます。
tar xvfz qpopper3.1.2.tar.gz
cd qpopper3.1.2
./configure
make
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シャドーパスワードを使っているシステムでは、「./configure」の代わりに「./configure --enable-specialauth」と打たなければならない場合があります。IRIX、Solaris、BSDなどいくつかのシステムではその必要はなく、そのように打つとコンパイルエラーになりますので、単に「./configure」と打ちます。
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これでqpopper3.1.2/popperディレクトリの下にバイナリファイルpopperが生成されますので、これを適当なディレクトリにコピーします。/usr/local/libディレクトリの下に置くのが一般的です。
cd popper
cp popper /usr/local/lib
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3. /etc/inetd.confファイルを修正する
qpopperは、デーモン(常駐プロセス)として常に動かしておくのではなく、接続要求を待ち受けるinetデーモンによって、接続要求の都度起動されるようにします。そのために、inetデーモンの設定ファイル/etc/inetd.confに、POP3での接続要求の際の動作を指定する必要があります。
そこに指定するサービス名は、/etc/servicesファイルでポート番号との対応が定義されている必要があります。/etc/servicesファイルに次の記述があることを事前に確認しておいてください。
pop-3 110/tcp # PostOffice V.3
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ここに指定されている「pop-3」というサービス名と対応付けて、/etc/inetd.confファイルに以下のように記述します。もしすでに別のPOP3サービスプログラムが指定されていたら、削除するか、または行頭に「#」を入れてコメントアウトして、それを無効にします。
#pop-3 stream tcp nowait root /usr/sbin/tcpd ipop3d
pop-3 stream tcp nowait root /usr/sbin/tcpd /usr/local/lib/popper -s
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/etc/inetd.confファイルの修正が終わったら、以下のようにしてinetデーモンを再起動します。
ps ax|grep inetd
206 ? S 0:09 inetd
kill -HUP 206
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psコマンドで調べたプロセス番号(ここの例では206)をkillコマンドで指定します。
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4. qpopperの試験
パソコンでPOP3対応のメーラーを動かして、自分宛のテストメールを送信してから受信してみます。qpopperの設定は単純ですから、トラブルが起こることはほとんどなく、すんなり受信できると思います。