No.44 2000/04/08
ハードディスクを分割して使う

 Windowsパソコンをお使いの方の中には、何かの拍子にWindowsがどうにもこうにも立ち上がらなくなって、Windowsの再インストールを余儀なくされたという経験をお持ちの方がおられるでしょう。私も、新型のマウスのドライバをインストールしたらWindowsが正常動作しなくなってしまい、やむなくWindowsを再インストールしたことがあります。
 Windowsを再インストールする際、今までのファイルやシステム設定を残したままでの上書きインストールでは、うまく復旧することはまずないようです。ハードディスクをフォーマットしてからインストールし直す必要があります。ハードディスクに蓄積していた文書やメールフォルダなどのデータファイルも巻き添えをくらって消えてしまいます。さて、困った…。
 Windowsのインストールセットの起動用フロッピーディスクを使ってDOSモードで立ち上げて、DOSのCOPYコマンドを使って大事なデータファイルをフロッピーディスクにコピーする方法が考えられます。しかし、大きなファイルはフロッピーディスクに入りません。MO(光磁気)ディスクなどの大容量の媒体はあっても、Windowsが立ち上がらないと使えない。さて、困った…。
 こんなことなら、ふだんからバックアップを取っておくんだったなあ。でも、毎日届くメールのバックアップを毎日取るのも大変だなあ…。

 このようなトラブルに備える危機管理のためのうまい方法があります。ハードディスクの領域をプログラム用とデータ用に分割しておくのです。
 分割された領域のことをパーティションといい、領域に分割することをパーティショニングといいます。一つのハードディスクに二つのパーティションを作っておくと、それぞれCドライブ、Dドライブとして利用できます(一般的なIBM PC/AT互換機の場合。NECの旧PC-98シリーズではドライブ名は違います)。つまり、一つのハードディスクを仮想的に二つのハードディスクとして利用できるのです。
 Windowsを再インストールする羽目に陥っても、Cドライブだけをフォーマットすればよく、Dドライブはフォーマットせずにすみます。ですから、大事なデータをDドライブに入れるようにしておけば、データは救われます。実際、私はWindowsのトラブルに見舞われた時にこれで助かりました。

 ハードディスクをパーティショニングするために、DOSモードで動くFDISKというコマンドがあります(Windowsの起動用フロッピーディスクに入っています)。しかし、使い方がむずかしいですし、新たにパーティショニングする時にハードディスク全体の内容が消えてしまいますから、初心者にはお奨めできません。
 お金は少しかかりますが、パーティショニング用のソフトをお奨めします。私は、PowerQuest社製のPartitionMagicというソフトを買っています(IBM PC/AT互換機のみの対応で、NECの旧PC-98シリーズには使えません)。ほかにもあります。パソコンショップで探してみてください(お使いの機種、およびWindowsのバージョンに対応していることを確認して買ってください)。
 パーティショニング用のソフトを使えば、ファイルを壊すことなくパーティションを作ることができます。
 ただし、「ファイルが壊れる可能性はあるから、必ずバックアップを取っておいてください」という注意書きがあります。私はバックアップをサボっていますが、ファイルが壊れたことはありません。万一壊れても、メーカーに文句を言わないでください。

 パーティショニングする際には、パーティションの大きさを決めなければなりません。私の場合、1.6GBのハードディスクを1GBのCドライブ(プログラム用)と0.6GBのDドライブ(データ用)に分けています。これで両ドライブがほどほどバランスの良い使用率になっています。適切な配分は、巨大なソフトを使うか、あるいはたくさんのデータファイルを保存するかによって違ってきます。パーティショニング用ソフトを使えば、パーティショニングしてドライブを使い分けてみたうえで、あとから大きさの配分をやり直すこともできます。
 二つのパーティションを作ったら、データファイルをDドライブに移しましょう。メールソフトや住所録ソフトなど、たいていのソフトでは、特に指定しなければデータファイルはCドライブに作られますが、Dドライブに指定を変更できます。
 また、私は、インターネットから入手したオンラインソフト(フリーウェアやシェアウェア)の書庫ファイルもDドライブに保管しています。こうしておけば、Windowsを再インストールした後でそれらのオンラインソフトを迅速に復活できます。

 これでほぼ安心。Cドライブに置かれたプログラムファイルやシステム設定は、Cドライブをフォーマットして消しても再インストールで復活できますから、バックアップは必須でなくなります。消えたら取り返しのつかないデータをDドライブに置いておけば、ソフト的な原因によるシステムクラッシュでデータを失うことはなくなります。ハード的な故障に備えてDドライブだけをバックアップすればよいことになります。
 最近では、ハードウェアの信頼性が上がっていて、Windowsのシステムクラッシュに比べてハード的な故障の確率が低いので、バックアップをサボってもかまわないという考え方もできるでしょう(それは万一の際の損害とのバランスで判断する必要がありますが)。
 パソコンによっては、ハードディスクは一台なのに初めから「マイコンピュータ」ウィンドウにハードディスクのアイコンが二つ現れるものがあります。これは、出荷時にすでにパーティショニングが行われているものです。もしそういうパソコンだったらこれ幸い。さっそくDドライブをデータの保管に活用しましょう。

 もう一つ、データのバックアップを簡単に行う方法もご紹介しましょう。
 もしパソコンが2台あれば、Windowsのケーブル接続(インターリンクケーブルを使う)またはネットワークコンピュータ(LANを使う)の機能を使って、時々データファイルをもう一台のパソコンにコピーしておくのです。この方法をとる場合も、データ用のパーティションを作っておけば、バックアップすべきデータファイルを簡単に選別できるので、操作が楽になります。

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