No.132 2002/08/08
mailtoリンクでない方が便利

 前回、ウェブページからメールアドレスを自動的に拾われてスパムメールに悪用されるのを避けるために、mailtoリンクをやめてメールアドレスをテキストとして表示するという方法を述べました。ネットフレンドのn@kkyさんから聞いた話がきっかけでした。
 n@kkyさんはこの方法を採用されたのですが、さらに念を入れた対策についての情報を入手されました。メールアドレスを「user*example.jp」のような形で表示して、「*」を「@」に書き換えるよう閲覧者に案内するという方法です。これだとメールアドレスには見えません。したがって、メールアドレスを自動的に拾い集めるプログラムがmaitoリンク以外の部分からもメールアドレスを見つける仕組みを持っていたとしても、メールアドレスを拾われてしまうことはないでしょう。
 しかし、メールを送りたい人にはいっそう手間をかけさせることになります。n@kkyさんもそれを気にしておられました。そこで私は、その改良案を提案しました。HTMLで
user@example.jp
のように書くのです。
 「@」は、「文字符号が十進数で64である文字を表示せよ」という意味を持つナンバーエンティティで、表示される文字は「@」です。したがって、上記の記述は「user@example.jp」と表示されます。閲覧者はそれをメーラーの宛先欄にそのままコピー・アンド・ペーストすることができ、修正の手間はありません。
 一方、ウェブページを自動的に解析するプログラムには、「@」という文字は見えませんから、上記のような記述がよもやメールアドレスだとはわからないでしょう。もちろん、「&#…(十進数)…;」というナンバーエンティティをそれが表す文字に変換してからメールアドレスを拾うことは、技術的には可能です。しかし、プログラミングに手間がかかるので、そこまでするのは敵にとっては“割に合わない”ことです。したがって、メールアドレスを自動的に拾われないためにはほぼ完璧な対策と思ってよいでしょう。
 n@kkyさんはさっそくこの方法を採用され、私自身もそうしました。

 さて、「@」を「*」に化かして表示する方法についての情報をn@kkyさんに提供されたねこげんじんさんが、私のサイトを訪問してくださいました。ねこげんじんさんは、mailtoリンクよりもメールアドレスをテキストで表示した方が便利だとおっしゃっていました。ねこげんじんさんがかつてメールのアイコンをmailtoリンクに使っておられた時、Windows組み込みのメーラーであるOutlook Expressを使っていない人から「メールを送れないから不便だ」と言われたのだそうです。
 私は、「あ、そうか!」と気付きました。Internet Explorerでは、mailtoリンクをクリックすると、Outlook Expressが起動されるようになっています。そのままでは、Outlook Express以外のメーラーを使っている人にとっては不便です。私は、Power Up Internet Explorerというツール(「私のお気に入りソフト」でも紹介しています)を使って、愛用のメーラーBecky!がmailtoリンクで起動されるようにしていました。ですから、mailtoリンクの便利さは当たり前のものと思い込んでいたのです。
 なお、Becky!のバージョン2は、インストールすると、Internet ExplorerからBecky!が起動されるように設定を変更してくれます。Power Up Internet Explorerの助けを借りる必要がなく、非常に便利になりました。
 考えてみると、ブラウザとしてNetscape Navigatorを使っている人にとっても、mailtoリンクはかえって不便なことがあります。Netscape Navigatorでは、mailtoリンクをクリックするとその組み込みのメーラーが起動され、ほかのメーラーを起動するように設定を変更することはできないらしいからです(私は使っていないので、詳しいことは知らないのですが)。

 「メール」などの文字やメールアイコンを使った(メールアドレスをそのままの形で表示しない)mailtoリンクは、閲覧者によってはかえって不便。メールアドレスをテキストの形で表示するのは、どんなブラウザ、どんなメーラーを使っている人にも等しくメールを送りやすくする便利な方法。――私にとっては“目からうろこ”でした。

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